まち劇インタビュー集

写真:鈴木和樹

鈴木和樹

 バンドやってたんです。高一から。ギターボーカル担当で。最初に人前で披露したのはGLAYの「誘惑」。高校卒業後、東京出たんです、バンドやろうって。小さい頃から家庭環境がかなり厳しくて生活保護も受けてたんで、「このままでは人生変わらない」って思ってましたから。

 でも、東京ではパチンコばっかやってました。結局、バンドは自分がやりたいことじゃなかった。本当にやりたいことなら毎日練習するし、ちゃんと続けるから。でも、チャレンジしたのは意味があった。お金のないことで色々あきらめてしまいがちだったから。

 2年で静岡に戻って、漫画喫茶で店長をしてたんです。ナイトパックの時間帯になると生活困窮者が店の前に並ぶんですよ。話を聞いたら、「風呂の代わりに公園の水で体洗ってる」って言われて。ショックでした。
 その事実を知って、何もしないわけにはいかなかった。それで、ボランティア活動を始めて、静大の夜学に通って福祉の勉強をして、自分が有名になればみんなを助けられると思って市議会議員選挙にも出ました。落選したけど、公約で言ったことを落ちたからやらないってのはダサいと思って。それで2010年に生活困窮者を支援するNPO法人「POPOLO(ポポロ)」を立ち上げたんです。

 誰もが再チャレンジできる世の中にしたいし、生活保護以外の福祉の選択肢や自分らしく生きるためのチャンスを増やしたい。自分も生活保護を受けてきたから、その恩返しがしたい。このインタビューを受けたのも、このページを見る人は、余裕があって生活に困ってないわけで、そういう人に困っている人の現状を少しでも伝えたいと思ったからです。

 ずっと、「世の中には敵と味方しかいない、グレーは敵だ」って思ってました。でも、色々な方に日々の活動で助けられて、今はグレーの立場の人も敵じゃないと思うようになりました。
2022年取材

一問一答鈴木和樹

  • 今日の朝食

    白菜、鶏ガラスープ、鮭のアヒージョ(自炊)

  • 一緒に住んでいる人

    1人暮らしです。

  • 最近好きな作品

    BiSH

  • 静岡を色に喩えると