まち劇インタビュー集

写真:深澤凛(ナイトシティー・ウォッチャー)

深澤凛(ナイトシティー・ウォッチャー)

 見方を変える訓練をしてます。無価値が前提で、すべて意味はないって感じてるんで。だから面白いものを外に求めてなくて、目の前にあるもので満たすことができるんです。見方を変えれば。

 たとえば、ビルの建築現場って、外壁に最上階まで足場を組んで、転落防止用にネットを足場全体を包むようにかけたりするじゃないですか。それって、真下から真上に見上げると、ビルのてっぺんの直線、空との境目が水平線に見えてきて、かけられたネットが海原に見えてくるんですよ。風で揺れたりもして。

 何の特技もなく、特化した力もないけど、服が好きで、アパレルで働いてました。昔、表参道の服屋で働いてて、売り子をやってたことがあるんです。販売成績はナンバーワンで、店の宣伝のために街角で声をかけてスナップ写真を撮らしてもらってた時期があったんです。それで写真に興味を持つようになって。で、空いてる時間に自分の好きな写真を撮るようになったんです。色んな写真家の作品を見たけど、ソールライターさんの写真が好きですね。たぶん僕は直線的なものが入ってる写真が好きなんですよ。最近は絵も描き始めました。
 自分の感覚を共有してくれる人はほんの一握りで、小中高大学と、みんなと趣味のベクトルが違うなって思ってました。大学時代はスカートはいて学校行ったりして。僕にとってはジェンダーレスがデフォルトだったから。僕が好きな僕でいたいですね。

 「答え」とか興味がなくて、流動するもの、正解のないもの、曖昧なものが好きなんです。無価値が前提で、すべて意味はないですから。けど、時間の累積を感じられるものは好きなんです。すごく昔の服とか、古道具とか、ドライフラワーとか。過去の方に美しさを感じるんですよ。確実にそこにある感じが。
 たぶん、刹那的なとこはかなりあります。でも、ちゃんと未来にも期待してるし。
2022年取材

一問一答深澤凛

  • 今日の朝食

    バイト先のまかないのトマトパスタ

  • 一緒に住んでいる人

    一人です。

  • 最近好きな作品

    映画「ヘドウィグアンドアングリーインチ」

  • 静岡を色に喩えると

    真鍮の金