あまる:
思いついたらやってしまおうってスタンスで生きてきたので、とりあえず、1年限定で劇場をやってみようって思ったんです。けど、縁あって、借りられたレストランを改造して、劇場が完成した時には、「常設にして、ずっとやってみよう」と決めてました。正直なとこ、ギリギリの運営なうえ、コロナの直撃ですから、ダメならダメでしょうがないと割り切ってるとこもあります。できないことは、できない。今できることをやっています。
群馬から静岡大学に入って大道芸を始めて、卒業後は大学で研究員として勤務し、土日だけ大道芸をしてたんです。けど、「お前の生き方はずるい、逃げ上手になっちゃうよ」って、大道芸や大学の先輩に言われたのをきっかけに、消去法で考えたんです。それで、研究員の代わりはいるけど、大道芸でまちづくりをする人の代わりはいないと思ったんです。必要とされる方にゆこうと。誰かの役に立っているかもしれないというワクワク感は好きですね。
今は映像作品にも取り組んでます。大道芸アーティストを呼んで公演するのは、クリエイティティブではあるんですが、劇場を地域で活かす意味では、なかなか新しい顧客を創造しにくいことに気づいて。コロナ禍の中で手探りで始めた映像企画には一般の人を巻き込めるチャンスを感じてます。
やりたいことは時間が許せばやるべきだと思います。最近は、伊坂幸太郎さん、星新一さん、竹下夢二さんの小説の写し書き、写経のようなことをして、想像力のトレーニングをしてます。岩手生まれ群馬育ちですが、大道芸との出会いをくれた静岡で、これからも暮らしてゆきたいですね。
ひっきー:
大道芸を始める以前は、日本各地のライブハウス巡ったこともありました。ピストルズ、クラッシュとかラフィンノーズ、クラック・ザ・マリアンとか初期パンクが好きで、今でもカセットテープで聴くのが好きですね。静岡県育ちで、色々なとこに住んできたけど、静岡に戻ってきました。静岡を色に喩えると、青と緑が少し重なった混ざり合った色で「答え」が出ていない感じがするんですけど、このままでもいいんじゃないかとも思います。
コロナ禍で劇場を再開するために、2020年の春から映像作品を創ってます。私たちの映像企画は、朝、テーマを決めて、撮影編集して、夜には上映という、一日で撮りきりのスタイルから始めました。ぶきっちょなところもあるんですが、今できることを見て欲しいし、下手さ加減も見て欲しい。プロの人がやればプロの形でつくることができるけど、日常の中で、生活の中で、制約の中で、不安の中で、一つの作品を創るというプロセスが大事だし、今度はみんなで一緒にやりませんか、というメッセージを込めてます。一般公募して集まったみんなで、自主製作映画にチャレンジして、「ぼくたちは、夢中になりたい。」って作品を創ったんですが、あれは今でも印象深いですね。
あまるさんと結婚したのは2012年なんですが、夫婦生活が上手くいってるとしたら、思ったことをすぐに言うからですね。最近、編み物を始めたんですけど、編んでいるものが、何になるのか、どういう形になるのか、誰かへのプレゼントになるのか、考えると楽しいです。なんか人生と似てる気がして、誰かと関わってゆくことも「編み物」みたいだなって。出来上がってみたら、「なんだこれ?」ってなるかもしれないけど。
2021年取材
あまる&ひっきー
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今日の朝食
バナナ
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一緒に住んでいる人
2人で住んでいます。あとは庭に集まる鳥
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好きな本
あまる「関西小劇場30年の熱闘」
ひっきー「春夏秋冬 わが家の漬け物保存食」 -
好きな映画、ドラマ、舞台
「おちょやん」
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好きな音楽
あまる「著作権にひっかからない曲」
ひっきー「初期パンク」など -
静岡を色に喩えると
青と緑
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静岡を漢字一文字で表すと
あまる「優」
ひっきー「土」 -
静岡に初めて来た人をどこに連れていきますか
焼津の石津浜公園
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静岡の全市民に見て欲しいもの
あまる「フィッシュストーリー」
ひっきー「ぼくたちは、夢中になりたい。」(自主制作映画) -
今、一番感謝を伝えたい人は
あまる「ご先祖様」
ひっきー「両親」 -
今、一番大事にしている言葉は
あまる「発掘」
ひっきー「編み物」