まち劇インタビュー集

写真:松永如美(ハンター)

松永如美(ハンター)

 さっきまで鹿の肉を煮てました。猟犬たちのご飯です。物心ついた頃から、家の庭では解体作業をやってましたし、それが日常でしたから。ハンター一家で、親戚とかが集まると、みんなで猟の話を楽しそうにしてました。女性で猟銃免許持ってる人はこの国にはほとんどいませんが、私には特別なことじゃなかったです。

 狩猟には、山の上から犬を使って獲物を追い立てる担当と、待ち伏せして獲物が出てきたとこを仕留める担当があるんですが、私は待ち伏せです。ずっと寒さに耐えて。寒いですよ、凄く。獲物は一発で仕留めた方がいいですね。猪とかは胸や腹に穴が開いても、致命傷じゃなきゃ何キロも走って逃げますし。
 ウチのチームでは誤射はないです。ちゃんと目視で獲物を確認してから撃ちますから。茂みが動いただけで撃つと誤射になりますね。ベテランのハンターだと、足跡だけを見て、大きさや体重を推測できるんですが、私はまだできません。何よりも経験値がものを言う世界です。

 親族でチームを作ってますし、父とも、親子というより、チームメイトみたいな関係です。普段はライトノベルを読むことが趣味で、実家の農業を一緒にやってジャムとか作ってます。イベントにも一家で出て、手作りシロップのかき氷売ったりして。楽しいですよ。家族でやってるから、自分がやりたいことは社長でもある父に直談判できるし、食事時が企画会議ですね。

 猟期が終わると、猟期が始まる11月が早く来ないかなって思います。釣りが趣味な人と同じで、狩猟も夢中になるものなんですよ。みなさんもまずは、自分で魚を釣って自分で捌けるようになって、そしてこっちに来てみませんかって思います。仕留めて、解体して、食べて。命あるものを食べてるって実感がありますよ。自分が仕留めた獲物には、手を合わせて、「ちゃんと食べます」って思いますから。
2022年取材

一問一答松永如美

  • 今日の朝食

    パンとジャム(自宅で作った)

  • 一緒に住んでいる人

    両親、兄、犬

  • 最近好きな作品

    小説「本好きの下克上」

  • 静岡を色に喩えると