まち劇インタビュー集

写真:山本夏夢(一輪車)

山本夏夢(一輪車)

 一輪車を始めたきっかけは、幼稚園の時に開かれた一輪車教室で、お姉さんたちの演技に憧れたからです。小学一年でクラブに入りました。クラブの練習は週三回でしたが、自主練を毎日していて、一輪車が生活の一部となっていました。だんだん賞を気にするようになって、毎日の練習は大変なこともありましたが、一輪車を通して色んな人に出会うようになって、その人達への恩返しをしたい気持ちの方が強くなりました。

 最初の一輪車はおもちゃ屋の三千円くらいのでしたが、今使っている一輪車はオーダーメイドした特注品です。大会用の衣装も押し入れいっぱいに何十着もあって、ほとんど母親が創ってくれたものです。

 2014 年に世界チャンピオンになって、シルクドソレイユに招かれて、ロシアでパフォーマンスをした時に、一輪車の可能性がもっともっとあると思いました。所属している、城内一輪車クラブ「ブルーリボン」は、県大会で 18 連覇中、全国大会では 5 連覇しましたが、やはり今はまだ認知度も浅く高校や大学進学を機に卒業していく子が多いので、これからはもっと一輪車を続けていけるような道を作っていけたらいいなと思います。

 挫折の経験はあったと思いますが、挫折と思ったことはないですね。できない時期があっても常に練習に行ってました。試合中は、技が一つ失敗しても、失敗はすぐに切り捨て、一つ一つその時の技に集中します。それができるのは、練習期間の長さ、練習の質に対する自信があるからです。

 最近は動画の撮影編集に興味があって、一輪車で静岡の歴史をつなぐような作品を創ってみたいです。静岡は凄い都会ではないですが、「これから」の可能性を感じてます。2021年取材

その後

 「一生に一度のチャンス」だと思って。会社にお願いして2ヶ月の休職をとったんです。
 「アメリカズ・ゴット・タレント」で優勝することを目標に、「UniCircle Flow」(ユニサークル・フロー)という一輪車チームを去年の1月に結成して練習してきました。それで、去年の9月に本選出場のチャンスを掴んで。で、アメリカに行ったんです。
 スーザン・ボイルがスターになった一大オーディションのアメリカ版で、2万以上の応募の中から、準決勝22組まで行ったんです。でも、そこで敗れて、決勝戦のために作った、渾身の演技は披露できなくて。それが悔しかった。

 チームは約30名。世界的ダンサーの蝦名健一さんに監督になってもらい、日本全国から一輪車のエースを集めて。仕事以外の時間はすべて一輪車に使ってきました。平日だけじゃなく、休日も「やることリスト」を作って、演技練習に加えて、「UniCircle Flow」を運営してゆくための連絡業務とかを、スケジュールびっちりでやってました。

 会社の皆さんにはとても感謝してます。入社1年目なのに私の活動を理解して、応援してくれて。それに仕事のおかげで、興味のアンテナが広がったんです。「セノバ」を運営してる会社なんですが、ファッションや食事とかトレンドを自分から調べて学ぶようになって、そういう要素を一輪車に取り入れてゆくようになりましたし。
 今は、一輪車の「演技」を見せることから、一輪車の「作品」を、「一輪車でしかできない作品」を創ってゆくことに興味があります。動画配信にも力を入れてて、撮影も編集もチームで考えて、自分たちでやってます。一輪車をもっと社会に広げたいですし、子ども達に一輪車の魅力を伝えたい。それだけじゃなく、一輪車を長く続けてゆくための環境作りにも挑戦していきたいですね。

一問一答山本夏夢

  • 今日の朝食

    きな粉餅、ひな祭りで祖母がついたもの。

  • 一緒に住んでいる人

    祖母、祖父、父、母、妹

  • 最近読んだ本

    「世界が憧れる日本人という生き方」

  • 好きな映画、ドラマ、舞台

    「マイ・インターン」。就活の時にグサッときた。

  • 好きな音楽

    テイラー・スウィフト

  • 静岡を色に喩えると

    緑。お茶のイメージを連想。

  • 静岡を漢字一文字で表すと

  • 静岡に初めて来た人をどこに連れていきますか

    富士山が見える三保の松原、フェリー。

  • 静岡の全市民に見て欲しい作品

    SPAC 舞台芸術

  • 今、一番感謝を伝えたい人は

    一輪車を続けていくのに関わってくれた全ての人。

  • 今、一番大事にしている言葉は

    感謝の気持ちを常に持つ